禁パチしているのに、ショート動画が止まらない。
YouTube ShortsやSNSを一本だけ見るつもりで開いたのに、気づけば30分、1時間と過ぎている。寝る前に見始めて睡眠を削る。仕事終わりの疲れを消したくて見て、見終わった後は何を見たかもあまり覚えていない。僕にはそんな日があります。
パチンコをやめたら、時間もお金も余ると思っていました。実際にお金の減り方は変わりました。でも、すぐ気分が変わる刺激を探す癖まで、勝手に消えるわけではありませんでした。
僕はADHDの診断を受けていません。だから「自分はこれだから仕方ない」と決めるつもりもありません。ただ、ショート動画、開封、買い物みたいに、今すぐ反応が返るものへ引っ張られやすい実感はあります。
この記事は、ショート動画を見る人を依存症と決めつけるものではありません。禁パチ後も無限スクロールを止めにくい僕が、研究で分かっていることと分かっていないことを分けながら、寝る前に動画を終えるために置いたブレーキを書きます。
禁パチ後にショート動画が止まらなくなった
パチンコを打っていた頃は、店へ行く、座る、お金を入れるという段階がありました。もちろん止められない時はありましたが、少なくとも店まで行かなければ始まりません。
ショート動画は違います。スマホを開けば数秒で始まり、次の一本が自動で出てくる。面白い一本だけで終わるつもりでも、「次はもっと面白いかも」がずっと続きます。疲れているほど、何も考えなくていい短い刺激に流れやすいです。
僕にとって厄介なのは、無料であることです。パチンコのように現金が減る痛みがないので、「今日は動画を見すぎた」と気づくのが遅れます。けれど、睡眠、翌日の集中、家族といる時間が減るなら、無料でもコストはあります。
スマホを完全にやめる必要はありません。僕は「終了時刻を決める」「寝床から外す」「通知と入口を減らす」の3つを、見始める前に置く方が続きました。
ショート動画を見すぎることと、問題的な利用は別
短い動画を楽しむこと自体は悪いことではありません。知りたいことを短時間で知れたり、気分転換になったりする場面もあります。視聴時間が長いだけで、病気や依存と呼べるわけでもありません。
僕が見直すべきだと思うのは、「終わりたいのに終われない」「やるべきことや睡眠を削る」「見た後に後悔するのに、同じことを繰り返す」という状態です。これは診断のチェック項目ではなく、生活にどんな影響が出ているかを見るための基準です。
| こんな時 | それだけでは言えないこと | 僕が確認すること |
|---|---|---|
| 休日に長く動画を見る | すぐに依存症とは言えない | 本来やりたかった予定を繰り返し潰していないか |
| 寝る前に一本だけ見る | 一度の夜更かしで問題とは言えない | 就寝時刻を何日も後ろ倒しにしていないか |
| 仕事終わりに無心で見続ける | 疲れた日の休憩まで悪いわけではない | 休めたのか、余計にだるくなったのか |
| やめようとしても次を再生する | 動画だけで診断はできない | 生活・仕事・お金の優先順位が崩れていないか |
WHOのゲーム障害の説明も、単に長く遊ぶことではなく、コントロールの低下や生活上の大きな支障が続く状態を問題にしています。これはゲームの診断に関する説明で、ショート動画へそのまま当てはめるものではありません。ただ、何でも「依存」と呼ばないための線引きとして参考になります。WHOのGaming disorderに関する説明
なぜ一本だけで終われないのか
ショート動画には、終わりの区切りがほとんどありません。次の動画がすぐ出てくるので、自分で「ここまで」と決めない限り、停止するきっかけが来ない。長い動画なら一本見終わった時に離脱できますが、短い動画は一本ごとの終わりが、次の始まりになっています。
内容も毎回違います。笑える動画、役立つ情報、開封、料理、ゲーム、ニュースが混ざるため、「次だけ見てからやめよう」が成立しやすい。自分に必要な情報を探している感覚もあるので、ただの暇つぶしだと認めにくい時があります。
これは意志が弱いからと片付けるより、止めどころが少ないサービスを、疲れて判断が鈍る時間に使っていると考えた方が現実的です。だから僕は、見始めた後の自分に期待しすぎず、見る前の環境を変えます。
パチンコと同じではない。でも似ている瞬間はある
ショート動画を見すぎることと、ギャンブル等依存症は同じではありません。医療的な診断を、ネットの言葉や個人の感想で決めるべきでもありません。
それでも僕が禁パチと結びつけて考えるのは、「次に何が来るか分からない」「すぐに反応が返る」「あと一回だけを繰り返す」という感覚が似ているからです。パチンコなら保留や演出、食玩なら次のシール、ショート動画なら次の一本です。
僕の場合、パチンコを打たない時間に動画が入り込むことがあります。これは「ショート動画がギャンブルを引き起こす」という話ではなく、僕は疲れや退屈をすぐ変えたい時に、即時に反応が返るものへ向かいやすいという自己観察です。買い物へ気持ちが移る時の話は、禁パチ中に買い物したくなる理由にも書きました。
研究で分かっていることと、まだ分からないこと
短尺動画と心の健康、睡眠、ストレスの関係を調べる研究は増えています。ただし、YouTube Shortsだけを対象にした長期研究は多くなく、TikTokを含む「短尺動画」全体を扱うものが中心です。結果も、利用時間だけで単純に決められるほど揃っていません。
2026年の系統的レビューとメタ分析は、短尺動画の利用とメンタルヘルスの関係を扱った研究をまとめ、エビデンスには一貫しない点があり、客観的な測定を使った研究が今後必要だとしています。Association Between Short-Form Video Use and Mental Health
2025年のレビューでも、問題的なTikTok利用とメンタルヘルスの関連を扱った研究が集められていますが、著者らは研究上の限界や今後の検討課題を示しています。関連があるという報告を、すぐに「動画が原因」と読み替えないことが必要です。Exploring Problematic TikTok Use and Mental Health Issues
睡眠やストレスとの関係を扱う短尺動画研究も出ています。けれど、眠れないから動画を見るのか、動画を見たから眠れないのか、両方に別の要因があるのかは、一人ひとり違います。僕は論文を「自分も必ずこうなる」という予言ではなく、睡眠を削ってまで見ていないかを点検する材料として使います。Endless Scrolling: Predictors of Procrastinatory Short-Form Video Use and Its Effects on Stress and Sleep
短尺動画の問題的利用に関わる要素を整理した2025年の系統的レビューは、心理面、習慣、社会的な状況、利用動機、プラットフォーム側の要因など、複数の要素を挙げています。つまり「ドーパミンが足りないから」と一つの原因に決める説明は、分かりやすくても正確ではありません。Factors Associated With Problematic Short-Form Video Use
ドーパミンを理由にして、雑に自分を診断しない
「ドパガキ」という言葉には、すぐ刺激を求める自分を説明したくなる分かりやすさがあります。でも、これは診断名ではありません。僕もADHDの診断はついていません。
ただ、ADHDの特性として語られる「目先の刺激へ引っ張られやすい感覚」に、自分を重ねる部分はあります。ADHDのある参加者で、後でもらえる大きな報酬より今すぐの小さな報酬を選びやすい傾向を報告したメタ分析はありますが、これは集団の傾向です。診断のない僕を含め、個人の行動の原因を決めるものではありません。ADHD and the Choice of Small Immediate Over Larger Delayed Rewards
NIHはドーパミンについて、単なる「快楽物質」ではなく、目標のために努力する価値の判断にも関わるものとして紹介しています。だから「足りないから強い刺激で補う」ではなく、寝不足、通知、退屈、疲労、ワンタップで続けられる設計が重なっていないかを見る方が実用的です。NIH Research Matters
僕が止まりにくい3つの時間
「動画を見ない」とだけ決めても、僕には続きません。どんな時間に止まらなくなるかを先に見る方が役に立ちました。
- 仕事終わり:疲れているので、考えずに気分を変えたくなる。
- 寝る前:一日の終わりに何か見たくなり、区切りがないまま寝る時間を越える。
- 待ち時間や退屈な時:数分のつもりで開き、別の作業へ戻るきっかけを失う。
僕の場合は、動画そのものより、その前にある疲れや空白が引き金です。ショート動画を開く前に「今は休みたいのか、暇なのか、寝たくないのか」を一言だけ考えるようにしています。答えが疲れなら、動画より先にシャワー、食事、水分、横になることが必要な場合もあります。
寝る前のスマホは、動画の中身だけが問題ではない
寝る前はスマホを見ない方がいい、とよく言われます。これは根性論だけの話ではありません。発光する電子書籍と紙の本を就寝前に読む条件を比べた小規模な実験では、発光型端末を使った条件で、寝つくまでの時間が長くなり、メラトニン分泌や体内時計のタイミング、翌朝の覚醒度にも違いが出ました。Chang et al. (2015)
ただし、この結果だけで「寝る前に数分スマホを見たら必ず眠れなくなる」とは言えません。画面の明るさ、目との距離、見る長さ、部屋の明るさ、その日の眠気で影響は変わります。ナイトモードも、光への対策の一つにはなりますが、無限スクロールで就寝時刻そのものを後ろ倒しにしてしまえば、それだけで解決とは言えません。
僕にとって寝る前のショート動画が厄介なのは、画面の光と動画の刺激が重なることです。次の一本が自動で来るので、眠る準備をする時間まで押し出してしまう。だから「スマホ禁止」より、寝る30分前には充電場所へ置くと決める方が現実的でした。海外の睡眠医学会AASMも、就寝前30〜60分は携帯電子機器の青色光を避けることを勧めています。American Academy of Sleep Medicine
ショート動画を減らすために、僕が先に置くブレーキ
| 引き金 | その場でやること | 先に変えること |
|---|---|---|
| 帰宅後すぐスマホを開く | まず水を飲んで5分だけ別の作業をする | 充電場所を机か玄関側へ移す |
| ベッドで見始める | 終了時刻をアラームに入れる | 寝床に充電器を置かない |
| 通知から動画へ入る | 通知を閉じ、後で見る物だけ保存する | 動画アプリの通知とホーム画面の入口を減らす |
| 次の一本を見たくなる | 立ち上がって画面から離れる | 「何分」ではなく終了時刻を決めてから再生する |
ポイントは、視聴を始めた後に自制心だけで止めようとしないことです。アプリを消すほどではないなら、まず通知を切る、ホーム画面の一ページ目から外す、ログアウトするなど、入口を一手だけ遠くします。
「30分だけ見る」より「22時30分に終える」と時刻で決めるのも、僕には合っています。時間だけ決めると、開始が遅れた分だけ寝る時間を削りがちです。終了時刻を固定すると、動画を見ない日があっても生活リズムを守れます。
ログをつけなくても、止める前に一言だけ考える
毎日どの動画を何分見たかまで記録するのは、僕には続きません。見る前と見終わった後を細かく書くやり方も、たぶん途中で嫌になります。
- 今、寝る準備を後回しにしていないか
- この一本の後、本当にスマホを置けそうか
- 明日の自分が困ることを、今の自分が見ないふりしていないか
答えが「寝たくない」や「疲れた」なら、動画を我慢するだけでは足りません。風呂、食事、水分、布団に入ることを先に済ませた方がいい日もあります。動画も買い物も、使った時間や金額を責めるより、次に同じ時間帯が来た時の逃げ道を作る方が僕には大事でした。パチンコをやめても散財衝動が止まらない時に見直したこと
動画も趣味も、まとめて禁止しない
僕は食玩シールをファイルに入れたり、気に入ったものをケースに飾ったりするのが好きです。問題は趣味があることではなく、コンプした後も開封の刺激だけを求めて買い続け、趣味予算を崩すことです。
動画も食玩も、全部禁止にすると反動で別の刺激を探しそうです。だから僕は、食玩なら買う個数と日を決める、動画なら終了時刻を決める、と対象ごとに上限を作ります。趣味代の枠を先に確保する考え方は、禁パチ後の趣味代を分ける方法でまとめました。
ショート動画を見たくなる自分を責めすぎないことも必要です。一日見すぎたからといって、月のルールまで投げない。次の日は充電場所を変える、寝床に持ち込まない、通知を一つ切る。大きな反省より、小さな修正の方が続きます。
生活に支障が出ているなら、相談先を使う
睡眠を長く削る、仕事や家族との関係に影響が出る、時間や金額の上限を決めても守れない、ギャンブルへ戻りそうで怖い。こうした状態なら、一人で「大したことない」と判定しない方がいいです。
厚生労働省は、ギャンブル等を含む依存症について、保健所や精神保健福祉センターなどの相談先を案内しています。ショート動画だけを理由に診断を求めるという話ではなく、生活上の困りごとやギャンブルの再発不安を含めて、専門家へ話す入口として使えます。厚生労働省「依存症対策」
ショート動画をやめるより、終わりを作る
禁パチ後にショート動画が止まらない時、僕がやるべきなのは「自分はだらしない」と決めることではありません。どの時間に、何から逃げたくて、どんな入口から見始めるのかを知ることです。
パチンコとショート動画は同じではありません。それでも、次の一回を待つ感覚に自分が弱いと気づければ、動画にも買い物にもブレーキを置けます。まずは今日、見る前に終了時刻を一つ決める。僕はそこからやり直します。
- Association Between Short-Form Video Use and Mental Health: Systematic Review and Meta-Analysis
- Exploring Problematic TikTok Use and Mental Health Issues: A Systematic Review
- Endless Scrolling: Predictors of Procrastinatory Short-Form Video Use and Its Effects on Stress and Sleep
- Factors Associated With Problematic Short-Form Video Use: A Systematic Review
- Marx et al. ADHD and the Choice of Small Immediate Over Larger Delayed Rewards
- NIH Research Matters「Dopamine affects how the brain decides whether a goal is worth the effort」
- WHO「Gaming disorder」
- 厚生労働省「依存症対策」
- Chang et al. Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness
- American Academy of Sleep Medicine「Americans are ‘doomscrolling’ at bedtime」



