「1/319を319回も回した。さすがに、そろそろ当たるだろう」
パチンコを打っていると、そう考えたくなる瞬間があります。
データランプ上の回転数が、大当たり確率の分母に近づいた。あるいは、すでに分母を超えている。隣はもう当たった。ここでやめたら、次に座った人へ当たりを渡す気がする。
でも、単純な1/319の独立抽選として計算すると、319回転までに1回以上当たる確率は約63.27%です。
1/319を319回回しても、約37%は一度も当たりません。
しかも319回外したあと、次の320回転目だけが特別に当たりやすくなるわけでもありません。過去の外れと次の1回を混ぜて考えると、「ここまで使ったからやめられない」が始まります。
この63%という数字を知ったきっかけが、YouTubeチャンネル「謎解き統計学 | サトマイ」の動画でした。
出典:謎解き統計学 | サトマイ「ギャンブラーが暗記するべきマジックナンバー」
この記事で分かること
- 1/319を319回転回しても約37%が当たらない理由
- 初当たりの先にあるRUSH・ラッキートリガー突入のハードル
- 「期待値が1回」と「必ず1回当たる」の違い
- 2倍・3倍ハマりが起こる確率
- ハマった台の次の1回が当たりやすくならない理由
- 63と表裏になっている37%ルール
- 確率を知っても、パチンコで勝てるようになるわけではないこと
1/100を100回引いても「必ず1回」は当たらない
まず、動画で紹介されていた1/100の例から考えます。
1回で当たる確率が1/100なら、1回で外れる確率は99/100、つまり0.99です。
100回すべて外れる確率は、0.99を100回掛けます。
100回すべて外れる確率:0.99100 ≒ 0.3660
100回で1回以上当たる確率:1 − 0.3660 ≒ 0.6340
つまり、1/100を100回試して1回以上当たる確率は約63.40%。反対に、100回すべて外れる確率は約36.60%です。
100人が同じ条件で100回ずつ引けば、感覚的には全員1回くらい当たりそうに見えます。でも実際には、36人から37人ほどが一度も当たらなくても不思議ではありません。
確率の分母と同じ回数を試しても、当たる確率は100%ではなく、およそ63%です。
なぜ「63」に近づくのか
1/Nの抽選をN回行ったとき、1回以上当たる確率は次の式で計算できます。
Nを大きくしていくと、この値は「1 − 1/e」に近づきます。eは約2.71828という数学上の定数です。
そのため、1/100を100回、1/319を319回、1/1000を1000回のように、分母と同じ回数だけ試すと、1回以上当たる確率はだいたい63%になります。
機種の確率が違っても、同じ「確率分母まで回した」という地点なら、当たっている人と当たっていない人の割合は似た形になるわけです。
1/319を319回転回した場合の正確な確率
単純な1/319抽選として計算すると、319回転すべて外れる確率は次のとおりです。
1 − 0.36730 ≒ 0.63270
したがって、319回転までに1回以上当たる確率は約63.27%。一度も当たらない確率は約36.73%です。
100人が同じ1/319を319回転ずつ回したと仮定すると、ざっくり37人は当たりゼロでもおかしくありません。
「確率分母まで回したのに当たらない」は、打っている本人にとっては苦しい。でも確率の世界では、かなりの人数に起こる範囲です。
約63%で当たっても、RUSHへの入口はさらに狭い
しかも、パチンコは初当たりを引けば終わりではありません。現在の機種では、初当たり後にRUSHへ入れるか、さらにラッキートリガーへ進めるかが出玉を大きく左右します。
319回転までに1回以上初当たりを引ける確率が約63.27%でも、その最初の初当たりでRUSHへ入る確率まで考えると、ハードルはさらに上がります。
約63.27% × LT突入割合25% ≒ 約15.82%
| 分母内の初当たり後の条件 | 319回転以内に初当たりを引き、その最初の当たりで突入する確率 |
|---|---|
| 初当たりのみ | 約63.27% |
| RUSH突入率50% | 約31.63% |
| LT突入割合25%と仮定 | 約15.82% |
100人が同じ条件で319回転ずつ回したと単純化すれば、分母内に初当たりを引き、その最初の当たりでRUSHへ入れる人は、突入率50%なら約32人。LT突入割合25%なら約16人です。
残りの人は、319回転以内に初当たりを引けないか、当たっても振り分けを通せません。「分母まで回せば何とかなる」と思っていても、実際には初当たりの先でもう一度、確率の壁があります。
ここでは「319回転以内に初当たりを1回以上引き、その最初の初当たりで突入する」場合を単純計算しています。
初当たり後に通常時へ戻り、同じ319回転の中で複数回の初当たりを引く場合までは含めていません。実際のRUSH・LT突入経路や割合は機種によって異なるため、各機種の公式仕様を確認してください。
638回・957回まで回したらどうなる?
確率分母の2倍、3倍まで回せば、1回以上当たる確率は上がります。ただし100%にはなりません。
| 回転数 | 1回以上当たる確率 | 一度も当たらない確率 |
|---|---|---|
| 319回(分母の1倍) | 約63.27% | 約36.73% |
| 638回(分母の2倍) | 約86.51% | 約13.49% |
| 957回(分母の3倍) | 約95.04% | 約4.96% |
| 1,276回(分母の4倍) | 約98.18% | 約1.82% |
| 1,595回(分母の5倍) | 約99.33% | 約0.67% |
3倍ハマりでも、一度も当たらない確率は約4.96%あります。100人いれば約5人です。
もちろん、かなりつらい展開です。でも「こんなの絶対におかしい」と断言できるほど、数学上あり得ない数字ではありません。
この表は、毎回1/319で独立抽選する単純なモデルです。
実際の遊技機には通常時・確変・ST・時短など異なる状態があります。機種の仕様や抽選状態を無視して、データランプの総回転数へそのまま当てはめるものではありません。
「期待される当たり1回」と「1回は当たる」は違う
1/100を100回試したとき、期待される当たり回数は1回です。
ここだけを見ると、「100回やれば1回当たる」と言いたくなります。
しかし、この1回は平均です。
- 一度も当たらない人
- 1回当たる人
- 2回、3回と当たる人
全員の当たり回数を平均すると1回に近づくのであって、一人ひとりに1回ずつ配られるわけではありません。
パチンコでは、この平均を自分への約束のように受け取ってしまいます。
「平均ならもう当たっているはず」「自分だけ遅れている」「このあと平均へ戻るはず」。そう考え始めると、投資したお金ではなく、確率分母を基準に続行してしまいます。
確率を理解しても、「期待値があるから打つ」という別の理由へ変わることがあります。借金や衝動がある状態で期待値を追う危険は、期待値稼働が借金から抜ける方法にならない理由で分けて整理しています。
319回外しても、320回転目の当選確率は上がらない
ここが一番大切です。
毎回が独立した1/319抽選なら、319回連続で外しても、次の320回転目の当選確率は1/319のままです。
台は「この人は十分負けたから、次は当ててあげよう」とは考えません。
前の319回は、319回転までに当たる確率を計算するときには関係します。でも、すでに外れたあとに迎える次の1回だけを考えるなら、その抽選確率は変わりません。
この二つを混ぜると、次のような考えになります。
- ここまでハマったから、次は当たりやすい
- 今やめると、次の人に当てられる
- 平均から離れすぎたから、そろそろ戻る
- あと少しだけ回せば区切りがいい
でも、その「あと少し」に数学的な保証はありません。
僕が怖いと思ったのは、37%が珍しくないこと
打っている最中は、確率分母が一つのゴールに見えます。
319まで行けば当たる。500まで行ったらさすがに当たる。ここまで使ったら戻ってくる。
でも63という数字を知ると、そのゴール自体が自分の頭の中で作られたものだと分かります。
319回転で当たらない約37%は、例外ではありません。100人いれば37人前後が入る、かなり大きな集団です。
僕は「自分だけ異常に運が悪い」と思うと、取り返したくなります。台や店に腹が立ち、次こそは当たると考える。でも確率を知ると、つらいハマりが起きていることと、次が当たりやすいことは別だと切り分けられます。
ハマった台を打ち続ける理由は、確率ではなく「ここまで使ったお金を無駄にしたくない」という気持ちになっていることがあります。
63と表裏になっている「37」という数字
動画の後半では、もう一つの37%が紹介されています。
有名な「秘書問題」と呼ばれる最適停止問題です。
候補者が100人いて、順番に面接する。一度見送った人には戻れず、その場で採用するか決めなければならない。全候補の中で最良の一人を選べる確率を高めるには、どうすればいいか。
古典的な条件では、最初の約37%を観察期間として見送り、その後で、それまでの全員より優れた候補が現れたら選ぶ戦略が知られています。最良の候補を選べる確率も、大人数では約37%に近づきます。
東京大学RIISEの解説でも、秘書問題の「37%ルール」が紹介されています。
参考:東京大学RIISE|駐車も雇用も決めどきは数学が知っている!?
ただし、これは「恋愛なら最初の37人を断ればいい」という話ではありません。
候補者数が決まっている、順番がランダム、一度断った相手には戻れない、全員を同じ基準で比較できるなど、かなり限定された条件の数学モデルです。
現実へそのまま当てはめるより、最初に観察して基準を作り、どこかで探索を止めて決断するという考え方が面白い部分です。
ギャンブルで難しいのは「次に当たるか」より「いつやめるか」
パチンコを打ちながら、次に当たるかを正確に知ることはできません。
確率を計算できても、次の1回が当たりか外れかは分かりません。63%を覚えても勝てるようにはならないし、釘やデータを見れば負けを消せるわけでもありません。
それでも、この数字には意味があります。
確率分母まで回したことは、当たりの予約券ではない。3倍ハマりも起こる。ここまで外したことは、次の当選確率を上げない。
それが分かれば、少なくとも「そろそろ当たるから続ける」という理由を一つ減らせます。
いま打ちながらこの記事を読んでいるなら
- 追加でお金を下ろさない
- 確率分母を区切りにしない
- 席を立ち、データランプから離れる
- 負けた金額をメモして帰る
次の1回を当てる方法ではなく、次の1,000円を守る行動へ切り替えます。
まとめ|覚えるべき数字は「63」
- 1/100を100回引いて1回以上当たる確率は約63.40%
- 単純な1/319を319回転回して当たる確率は約63.27%
- 319回転すべて外れる確率は約36.73%
- 3倍の957回転まで一度も当たらない確率も約4.96%ある
- 期待される当たり回数1回は、必ず1回当たるという意味ではない
- 独立抽選なら、ハマったあとも次の1回の確率は変わらない
「1/319を319回回した。もう当たるはずだ」ではありません。
「319回回しても、約37%は一度も当たらない世界にいる」です。
63を覚える目的は、うまく立ち回ることではありません。確率分母を理由に追いかけず、店を出るためです。



